今年も自主公演「吉左右会（きっそうかい）」の時期がやって参りました。

今年も笑って楽しめる演目を並べましたが、テーマは「対立」。勝か負けるか。はたまた引き分けか！？相手がいれば必ず起こりうる人間のテーマの一つです。

皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております。

拝啓　錦秋の候　ますます御健勝の事とお慶び申し上げます。

この度「大藏流狂言　第十三回　吉左右会」を開催させて戴きます。加様に毎年会を重ねる事が出来ますのも、偏に皆々様のご後援の賜物と厚く御礼申し上げます。今年の演目は、「対立」というテーマでの番組と致しました。これは、私達の身近な生活の中でも起こりうる些細な出来事です。他者と比べ、優劣をつけ、他者よりも秀でていたいと思う気持ちは誰でも持ち合わせています。そしてそれは国同士の戦争にまで発展してしまいます。狂言の世界ではこのような「対立」する事を、どのように描いているのか。また皆様のお心にはどのように映るのでしょうか。

当日は皆様に楽しんで頂けるように、一門稽古に励んで参ります。何卒御知己様お誘いいただき、賑々しくご来会下さいますよう御案内申し上げます。

一段と冷え込んできました。季節柄、ご自愛下さい。敬具

２世大藏吉次郎　以下一門

●平成26年11月21日(金)

●午後5時45分開場　　午後6時30分開演

●セルリアンタワー能楽堂　(東京都渋谷区桜丘町26-1)　(03-3477-6412)

●チケット（全席自由）

　　一般5000円（4000円）　学生3000円（2500円）　ペア8000円（前売りのみ）

　　※（　）内は後援会割引です

　　※後援会については以下のページをご覧ください。

　　　「大藏吉次郎家後援会」http://kichijirou-kyougenkai.jp/fanclub/

●お問い合せ

　　大藏流吉次郎狂言会　03－3329－1835　　info@kichijirou-kyougenkai.jp

●主催　大藏流吉次郎狂言会

●後援　大藏吉次郎家後援会

●番組

【おはなし】大藏教義・榎本元

【昆布売（こぶうり）】

　シテ（大名）宮本昇　　アド（昆布売）大藏基誠

【水掛聟（みずかけむこ）】

　シテ（聟）榎本元　　アド（舅）大藏吉次郎　　アド（妻）上田圭輔

【居杭（いぐい）】

　シテ（算置）大藏教義　　アド（居杭）宮澤燿介　　アド（何某）大藏千太郎

●あらすじ

昆布売（こぶうり）
都へ上る大名は自分で持っている太刀を通り掛かった若狭の小浜の昆布売に持たせようとします。太刀を持ったことのない昆布売は断りますが脅しをかけて無理やりに太刀を持たせます。太刀の持ち方を教わり持ちぶりが様になりますが召使いのように扱われ腹を立てます。昆布売は太刀を振りまわして大名に平家節や小唄節、踊り節で昆布を売るよう脅します。 太刀を持たせてまさか自分の太刀で脅されるとは思っていなかったであろう大名。無知というか世間知らずというか。前半の威勢を張った姿と後半の脅された惨めな姿。その対極した様子を中世の大名になったつもりで演じたいと思います。（昇）

水掛聟（みずかけむこ）
聟が田の様子を見に来ると、隣の舅の田に水を取られています。聟は畦を切り、自分の田に水を引き返し、よそへ見回りにゆきます。その後舅が田に来ると、自分の田に水がないことに気づき、再び聟の田から水を引き、また聟に水を取られないように番をします。そこへ再び聟が現れ、互いに水を引こうとし、口論に。挙句の果てには水を掛け合い、泥を掛け合い…さて互いに譲らぬ水掛論に泥仕合、結末やいかに!? スタンダードな狂言とは少し違った演出に、この曲でしか使われないお道具を用いたりと課題も多いですが、春の風情、自然を愛でる気持ちや感謝を込めて演じたいと思います。（元）

居杭（いぐい）
日頃お世話になっている何某の家へ訪問する居杭は、挨拶がてらに「よく来た」と言いながらいつも何某に頭を叩かれてしまう。どうにも迷惑に思い、清水の観世音にお参りにいったところ一つの頭巾を賜った。その頭巾を何某の目の前でかぶるとあら不思議。驚いたことに透明人間になってしまいました。困っている何某のところへ算置と呼ばれる易者（占い師）が通りかかります。さっそく居杭の居所を占ってもらいますが、相手は透明人間。そうやすやすと捕まえられるわけがありません。そうともしらず何某は算置の占いは全く当たらないと罵り、喧嘩になります。これはまずいと居杭は頭巾を取って正体を現し、逃げていくのでした。 狂言教室でお稽古している宮澤くんとの共演です。